35yogaインストラクター養成講座

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【コラム】腱鞘炎と産後ママへの指導

授乳や赤ちゃんのお世話など、育児生活の中で起こる手首の痛み、腱鞘炎。
ヨガに来ているママさんも実は腱鞘炎を起こしていて、ポーズによっては苦痛を感じているかもしれません。
そんなママさんへの指導で気を付けておきたい点についてまとめてみました。

産後に腱鞘炎になる原因

出産後に手首が痛む原因としてはやはり「赤ちゃんの抱っこ」など手首を酷使していることが原因です。

・長時間の抱っこでの寝かしつけ
・首の座っていない新生児の抱っこ
・授乳時に高さを合わせるために手首で調節する
・沐浴時に赤ちゃんの頭を支えている

など、日々当たり前のようにしている育児のカタチが、手首の痛みを引き起こします。

また、産後は女性ホルモンの影響により関節が痛みやすかったり(これは手首だけでなく膝をついた時なども痛みをおこします)、
最近ですと、育児の間に使うスマホの頻度によっても手首を痛めることが多いようです。

手首の痛みについては、主に抱っこの時だけに痛みを感じる人もいれば
料理をしている時(フライパンを持った時など)、ちょっと手をついた時、
スマホを持っている時など、ちょっとした日常生活の動作で「イタイ!」ってなることが多いですね。

いずれにしても炎症を起こしているので暫く手首を酷使しないというのが理想ですが
育児中のママはそうもいきませんので、事前に予防することや手首の使い方の工夫が必要です。

手首を痛めない抱っこの仕方

赤ちゃんの抱っこでママへの負担を軽減する方法として

・赤ちゃんをママの方に引き寄せる
・授乳時はクッションを使う
・抱っこ紐やスリングを使用する

など様々ありますが、根本的な問題、やってしまいがちな抱き方として写真の赤丸のように手首を強く手前に曲げる形。
さらに手首のあたりに赤ちゃんの体重がかかるような抱き方をしてしまうことが多いかなと思います。
この手首のカタチが痛みを引き起こしたり悪化させたりしますから、上記に書いたような方法であったとしても手首をどう使うかがポイントになります。

ですので、抱っこする際はこの手首を反対側に返して、手の甲側が赤ちゃんの方に向くように抱っこしてみてください。
抱いてから手のひらを反すのではなく、抱くときに先に腕を外側に返しておいて(時計の文字盤を確認するような恰好)、その状態で赤ちゃんを腕で抱きしめるようにするとやりやすいです。

赤ちゃんの成長による体重の重さもありますが、まだ抱っこが難しくて慣れていない新生児頃から
腱鞘炎になる人も多いですので、気を付けてもらいたいなと思います。

あなたの生徒さんも腱鞘炎かも?

ヨガレッスンに来られるママさんの中には『実は手首が痛い・腱鞘炎気味』(だけどレッスンには来た)という方も少なくありません。

日常的に痛みがあるけれどもそれが当たり前になってしまっているママさんは
その他の不調が特になければクラスに来てくださるので、ヨガをして(手をつくポーズなどをした時に)改めて痛みに気が付くわけです。

その時、痛いんだけども我慢してしまう。痛いなぁと思いながらもそのままポーズを続けてしまう。

もしくはその時はそれほど痛みはなかったのだけど終わってしばらくしてから、例えば翌日とかに手に痛みを感じたり。
なのでレッスンの時にインストラクターに「手首が痛いです」と言ってくださる人はあまりいないんです。

覚えておいて欲しいのが「ママは痛みに対して我慢強い人が多い」ということ。

腱鞘炎にしろ、腰痛にしろ、多少の痛みは我慢しがち。
もしくは痛いのだけど痛みの原因についてはそれほど意識していないので、ヨガの時に痛みを思い出せば
「ヨガをやって手を痛めてしまった」という気持ちになってレッスンに通うのも辞めてしまうんですよね。

ですからインストラクターとしては、関節の痛みに関しては敏感でいて欲しいのです。
むしろ「ママさんは全員どこかしら痛いはず」と思って事前に配慮できる点はして、軽減するようなアナウンスをしてください。

レッスンでは積極的に軽減ポーズを

ヨガのポーズでは手をつく形のものが多いですよね。四つん這い・ダウンドッグ・プランク・アップドッグなどなど。
手首が痛む場合はいずれの場合も、手首に体重をかけないようにするのが基本です。

 


例えばダウンドッグであれば、手首から肩にかけて引き込む形をとります。
手のひらや指はしっかりとマットに根差した状態で、上に引き上げる。それだけでも手首への負担は軽減されるのがわかるはずです。
特に腰が硬い人や、足、アキレス腱が硬い人の場合はダウンドッグをした際に、前重心になりやすく手に全体重をかけてしまうので
脚が辛い人は膝を軽く曲げて、お尻を後ろに引き重心を後方へスライドさせるようにしてあげてください。

またよくやるのが肘をつく形。これなら手首が痛むことはほぼないはずです。
肘をついた形での骨盤回し、猫の伸びのポーズ、足を上げるポーズ、プランクなど、できるポーズは沢山あります。
産後クラスであえばまずは肘をつく形から入って、次のステップとして「手首が痛くない人は」と前置きした上で
通常のポーズにはいっていくといいと思います。
(もし痛ければ肘をつく形に戻ることを躊躇しない、という事も伝えてあげてください)

あとはフロアの固さも痛みに繋がることもありますので、必要であれば折りたたんだタオルを手の下にひいたり
最初からヨガマットを2枚以上重ねるなどの工夫も◎です。

ポーズの軽減は効果が薄いということではない

ヨガのポーズにはそれぞれ必ず軽減、優しいポーズというのがあります。

ポーズを簡単にする、というと「効果が薄い」と思われがちですがそうではありません。
体の構造的に難しいポーズを無理にやったり、痛みを我慢するほうが効果が薄れます。

各ポーズのどの効果にフォーカスしたいのか。どの部分に集中させたいのか。
それをしっかり見極めていれば、むしろ軽減ポーズの方が有効的であるといえます。

インストラクションをしていると、ポーズがキレイにできるようになって欲しいなとか、もっとこうしたらいいのになと思う気持ちも出てきたり
だんだんと難易度を上げていってしまいたくなったりすることもあるかもしないですね。

ですがヨガをして体を痛めては元も子もありません。

特に産後ヨガに関しては軽減する方法を多く取り入れることで、効果はもちろんのこと、レッスン構成としての
バリエーションも増えますのでぜひ積極的に指導して欲しいと思います。